No.4

土野瑞穂さん



オスロにて (2023年)

土野さんは平和学とどのように出会いましたか?



 大学院修士課程時代の指導教授である西川潤先生の講義、そして日本平和学会という存在を通じて知りました。「人権」「戦争」といったテーマは国際関係論・国際政治の領域でもこれまで議論されてきましたが、平和学はそこから零れ落ちてきた、草の根レベルで平和を創り上げる様々な人々・事柄を包含できる学問だという印象を受けました。




プロフィール:

明星大学准教授。東京生まれ。専門はフェミニスト国際関係論。主な著書・論文に、「『紛争下における女性への性暴力』研究の再考先行研究のレビューを通して」(『平和研究』第60号、2023年)、「なぜ『人間の安全保障』にジェンダーの視点が必要なのか?-軍隊による女性への性暴力から考える」(『学術の動向』20196月号)、「国連安全保障理事会決議1325号と紛争下における女性への性暴力の脱政治化-『慰安婦』問題をめぐる議論に着目して」(『国際ジェンダー学会誌』第15号、2017年)、『東京裁判―性暴力関係資料』(吉見義明監修、内海愛子ほか編、2011年、現代資料出版)など。


現在の土野さんにとっての平和学とはなんでしょうか?また、ご自身の研究や実践と平和学とのつながりはどのようなものでしょうか?



 実は「平和学」という視点から意識的に研究をしてきたわけではなく、今も勉強中の身です。ただ自分自身の研究内容は、平和学と非常に深く結びついていると考えています。これまで日本軍「慰安婦」問題を中心に「紛争にかかわる性的暴力」(Conflict-related Sexual Violence)について研究してきました。

 紛争に抗するという立場から、ジェンダーという等閑視されてきた規範を問い、不可視化されてきた人々の目線からCRSVの根絶をめざす研究は、平和の創造という価値志向性、既存の価値体系への批判的まなざし、市民社会の視座といった平和学が持つ特徴と重なるものです。


 その一方で、フェミニストたちは平和学が目指してきた「人々の安心・安全」といったものが、「どこの誰の」ものなのかを問うてきました。したがって、自身の研究を平和学から捉えなおす場合にも、そうした視点から考えていきたいと思っています。


平和学に興味がある人に伝えたいことなどがあったら教えてください。



 私が今のところ理解している平和学は、既存の主流の学問・理論ではとらえきれない問題を考えたい人々にとって居場所を与えてくれる学問であり、また市民の日々の実践を重視する学問だと思っています。日本平和学会はその気付きを与えてくれた場でした。平和学がもつ多様性と実践力を学び、そして人々とつながる場として大いに日本平和学会を活用できると考えています。