グローバル化が進み、多種多様な国民国家がみられる今日。しかし、その理念と現実の乖離は甚だしい。「国民」の創出において、先住民や少数民族を抑圧してきた歴史や、尽きることのない移民・難民問題。「再国民化」では、排外主義的な言説や暴力を伴うことも少なくない。本号では、「国民」であることと平和の享受との関係の問い直しを迫る。
オンライン・ジャーナル形式 (J-Stage上で公開しています)
目次など
巻頭言 今、平和にとって「国民」とは何か コロナ禍のなかで平和を考える 中村 都・中野裕二
● 投稿論文
1 国民の二層化と「移民・難民問題」の政治的構築 ヨーロッパ2015~16年“危機”の一考察 宮島 喬
2 日本社会の多文化化の現状から、日本の「国民」を考える 佐竹眞明
3 国民国家への回帰現象について考える 「脱国民国家化」から「再国民化」へ 畑山敏夫
● 投稿論文
4 民族の自決と国際平和の相克 吉川 元
5 「加害者の政治学」と国内政治による規範の制度化 ベトナム戦争時の民間人虐殺と韓国の対越政策 尹 在彦
● 書評
「地域」と「市民」から読んだ平和学の3冊 勝俣 誠
佐藤幸男・森川裕二・中山賢司編『〈周縁〉からの平和学──アジアを見る新たな視座』昭和堂、2019年
多賀秀敏編著『平和学から世界を見る』成文堂、2020年
稲正樹・中村睦男・水島朝穂編『平和憲法とともに──深瀬忠一の人と学問』新教出版社、2020年
現代国際社会における刑事裁判の形 小阪真也
下谷内奈緒『国際刑事裁判の政治学──平和と正義をめぐるディレンマ』
岩波書店、2019年
おぞましい学知からの解放を求めて 大野光明
松島泰勝・木村朗編『大学による盗骨──研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨』
耕文社、2019年
日本平和学会の研究会活動 日本平和学会事務局
SUMMARY
編集後記 中野裕二
日本平和学会設立趣意書
日本平和学会第24期役員
日本平和学会会則