『平和研究』第64号 (2025年夏刊行予定)
特集テーマ:ジェンダーと平和
企画趣旨:
2022年2月、ロシアがウクライナへの侵攻を、2023年10月にはパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスからの攻撃を受けたイスラエルが同地区への激しい空爆を開始した。現在進行中の武力紛争はこれだけではないが、これら大規模な二つの紛争が展開されている中で、男性性/女性性の規範およびジェンダーの階層が武力紛争をどのように構築しているかについて、今ほど分析が必要とされている時はないだろう。
「戦争・紛争とジェンダー」と言えば、国連安全保障理事会が2000年に採択した「女性・平和・安全保障」に関する決議1325号が求めているように、武力紛争の予防・解決・和平プロセスにおける女性の参加、そして武力紛争において女性を性暴力から保護することが国際社会のアジェンダとして注目を浴びてきた。
ただし世界のフェミニストたちは女性の「不在」や女性の「保護」だけを問題にしてきたわけではない。男性性を上位に置き女性性を下位に位置づけるという不均衡なジェンダー二元論の上に成り立つ家父長制のもとで、「男らしさ」の証明として正当化されてきた暴力が個人を超えて国家の行動規範となってきたこと、それゆえ家父長制こそが軍事主義、そして武力紛争をもたらしていることを訴えてきた。
フェミニスト国際政治学者のシンシア・エンローが指摘するように、軍事主義はある日突然生まれるわけではない。軍事主義を根底で支える家父長制は、平時における私たちの日常生活の中で日々実践・再生産されている。そしてこの家父長制は、武力紛争のみならず、日常的な性暴力、ドメスティック・バイオレンス、貧困、各種の不平等といったかたちで、とりわけ女性たちの平和・安全・安寧を脅かしている。またこれらはジェンダーだけでなく、セクシュアリティ、人種、階層、さらにはグローバルな政治経済構造などの要因が絡み合って引き起こされている。
フェミニスト平和教育者のベティ・A・リアドンは、平和研究において女性に関わる問題が、中心的課題に対して二次的な、あるいは付随する問題として扱われてきたと指摘する。本学会もその反省の上に立ち、今号では本学会初の試みとして「ジェンダー」を特集テーマに据えた。しかし本特集が目指すのは、平和研究に「女性を加えてかき混ぜる(’Add women and stir’)」ことではない。そうではなく、ジェンダーが国家や国際システムのアイデンティティの根底を成していることを暴き、抑圧的な社会の変革に貢献するような知の生産である。以上の問題意識を踏まえ、本特集ではジェンダーの視点から、また様々な文脈やアプローチによって、平和に関わる問題を批判的に考察する理論・実践面での論考を広く掲載する。
1 投稿資格
投稿資格を有するのは、平和学会の会員、もしくは投稿申込以前に入会申込書が平和学会事務局に受理されている方です。なお会員に広く執筆機会を提供するために、投稿を希望する号より前の3号に原稿が掲載されている会員については、投稿資格は認められません。
2 原稿の種類
投稿原稿の種類には、平和研究に関する研究論文、研究ノート、書評論文の3種類があります。詳細については執筆要領をご確認ください。応募された投稿原稿が多数となった場合には、研究論文の掲載を研究ノート、書評論文より優先することがあります。また研究論文として投稿された場合であっても、査読の結果、研究ノートとして掲載を認める場合があります。なお、投稿原稿は未発表のものでなければならず、同一の原稿を学会誌以外に同時に投稿することはできません。平和学会の研究大会・集会時に提出をしたフルペーパーは、未発表原稿として扱います。
3 投稿申込締切と投稿原稿提出締切
投稿申込締切は2024年6月30日、投稿原稿提出締切は同年8月31日です。
4 投稿申込
原稿を投稿する2ヶ月前までに、投稿原稿の要旨と執筆者情報を所定の書式(書式1、書式2)で提出してください。
5 原稿の投稿
投稿に際しては、刊行・編集規程、投稿規程、執筆要領を確認のうえ、これらの規定に則って原稿の執筆と投稿を行ってください。これらの規定に定められた要件を満たしていない原稿は、受け付けることができませんのでご注意ください。
6 投稿申込・原稿送付の連絡先
メールで下記のアドレス宛にご連絡ください。
psaj26journal(a)gmail.com ((a)は@におきかえてください)
第26期編集委員会 下谷内奈緒宛
メール送信後1週間以内に受信確認の返信がない場合には、再度ご連絡ください
7 査読結果の通知
原則として投稿後3カ月以内に査読結果を通知します。
8 オンライン・ジャーナルへの掲載
完成した原稿からオンライン上で逐次刊行となります(完成原稿から先行公開されます)。 原則として掲載可となった原稿は、投稿から1年以内の刊行を予定しています。
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