特集投稿原稿募集について

『平和研究』第62号 (2024年夏刊行予定)

特集テーマ:「安全保障」という名の暴力

 

企画趣旨:

「安全保障」の名の下で、世界大ですさまじい軍事化が進んでいる。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2021年の世界の軍事費は、コロナ・パンデミックにもかかわらず2兆1130億ドルとなり、初めて2兆ドルを突破した。2022年2月24日、ロシアが始めたウクライナ侵略戦争は、全く収拾の見通しが立たない。

このような状況のもと、日本政府は12月16日、「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」(「防衛計画の大綱」から改称)、「防衛力整備計画」(「中期防衛力整備計画」から改称)の安保3文書を閣議決定、歴代政権が否定してきた敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有を明記した。これにより日本は事実上、自国が攻撃されていないもとでも、米国からの要請があれば「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)での敵基地攻撃もできるようになる。そう遠くない将来私たちは、平和研究を初めとする学問そのものの存在理由を問われる状況に直面することになろう。

 ドイツのプロテスタント神学者ドロテー・ゼレは1980年代、「軍拡は戦争がなくても人を殺す」と喝破した。そこには、軍事予算の膨張によって福祉・教育など民生への支出が削られるだけでなく、政治・経済・社会の諸原理が軍事中心に変質する問題性が含意されている。

 本来「安全保障」とは、国連の存在に代表されるように、たとえ折り合いのよくない国同士でも紛争を平和的に解決する思想や機構を意味していたはずである。しかし、いつの間にやらそれは、「敵」の存在を前提とする「国防」と変わらない使われ方をしている。そして、 それによって政治そのものが軍事化し、市民社会・地域社会が大きく損なわれようとしている。

 本特集では、軍事的「安全保障」の問題性を批判的に考察する論考に加え、「平和を望むなら平和に備えよ」との平和研究の原点に立ち返った対抗構想に関する論文の投稿も歓迎する。

 

1 投稿資格

投稿資格を有するのは、平和学会の会員、もしくは投稿申込以前に入会申込書が平和学会事務局に受理されている方です。なお会員に広く執筆機会を提供するために、投稿を希望する号より前の3号に原稿が掲載されている会員については、投稿資格は認められません。

 

2 原稿の種類

投稿原稿の種類には、平和研究に関する研究論文、研究ノート、書評論文の3種類があります。詳細については執筆要領をご確認ください。応募された投稿原稿が多数となった場合には、研究論文の掲載を研究ノート、書評論文より優先することがあります。また研究論文として投稿された場合であっても、査読の結果、研究ノートとして掲載を認める場合があります。なお、投稿原稿は未発表のものでなければならず、同一の原稿を学会誌以外に同時に投稿することはできません。平和学会の研究大会・集会時に提出をしたフルペーパーは、未発表原稿として扱います。

 

3 投稿申込締切と投稿原稿提出締切

投稿申込締切は2023年6月30日、投稿原稿提出締切は同年8月31日です。

 

4 投稿申込

原稿を投稿する2ヶ月前までに、投稿原稿の要旨と執筆者情報を所定の書式(書式1書式2)で提出してください。

 

5 原稿の投稿

投稿に際しては、刊行・編集規程投稿規程執筆要領を確認のうえ、これらの規定に則って原稿の執筆と投稿を行ってください。これらの規定に定められた要件を満たしていない原稿は、受け付けることができませんのでご注意ください。

 

6 投稿申込・原稿送付の連絡先

メールで下記のアドレス宛にご連絡ください。

psaj25journal(a)gmail.com  ((a)は@におきかえてください)

第25期編集委員会 木戸 衛一宛

メール送信後1週間以内に受信確認の返信がない場合には、再度ご連絡ください

 

7 査読結果の通知

原則として投稿後3カ月以内に査読結果を通知します。

 

8 オンライン・ジャーナルへの掲載

完成した原稿からオンライン上で逐次刊行となります(完成原稿から先行公開されます)。 原則として掲載可となった原稿は、投稿から1年以内の刊行を予定しています。