特集投稿原稿募集について

 

『平和研究』第65号 (2025年11月刊行予定) 

特集テーマ:「国連と平和」

 

 企画趣旨:

 国連は1945年の創設以来、世界の平和と安全の維持と回復に重要な役割を果たしてきた。国連の活動には、安全保障理事会による平和維持活動や紛争解決の努力、総会における国際的な対話と決議の採択、事務総長による調停と外交努力、国際司法裁判所の紛争解決の法的枠組みの提供などが含まれる。また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連開発計画(UNDP)などの人道支援や開発支援を担う機関も重要な役割を果たしている。さらに、国連が取り組む平和の問題は、いわゆる「消極的平和」にとどまらず、貧困や人権、環境、ジェンダーなど「積極的平和」の諸課題全般に及んでいる。これらの活動を通じて、国連は多様な側面から平和と安定を支える努力を続けている。

 一方、主権国家体制を前提に活動する国連の役割と限界は、しばしば議論の的となっている。各国の主権を尊重しつつも、国際社会の共通の利益を追求するという難しい任務を負っているからである。安全保障理事会における拒否権の行使や、総会での決議が実行に移されないことなど、国連の機能不全を指摘する声も少なくない。ただ、それを補うように、国連は国際NGOや市民社会組織(CSO)、企業など非国家アクターとの関係を強めてきたのも事実である。こうした現実を踏まえ、国連の役割を再評価し、主権国家体制のなかでどのように国際的な協調を実現していくかを探ることが重要である。

 21世紀における国連を取り巻く課題は多岐にわたる。テロリズムの脅威、長期化する難民問題、気候変動、パンデミック、デジタル技術の進展による新たな紛争の形態、2030年に期限を迎えるSDGsなど、国連が対応すべき課題はますます複雑化している。また、資金不足や加盟国間の意見対立など、国連の運営そのものに関する組織的な問題も無視できない。このような課題に対して、国連はどのように対応し、どのような解決策を講じているのか、そしてそれらがどの程度成功しているのか。これらを検証することは、国際社会が直面する課題と世界における平和のあり方と実現について考える上で不可欠である。

 さらに、21世紀における国連の将来像とそれに向けた取り組みについても考察する必要がある。その一つが、国連改革の問題である。とくに、安全保障理事会の常任理事国制度の改革や、国連の意思決定プロセスの透明性向上、効率性の向上が求められている。また、国連における多国間主義の原則が、台頭するナショナリズムや一国主義の潮流にどのように対抗していくのかも重要である。さらには、国際NGOやCSO、企業などとのパートナーシップ強化も見逃せない。こうした課題に対して、どのように取り組んでいくのか、学術的な視点からの分析が求められる。

 国際の平和を守るという使命を負って設立された国連に代わるものはない。そして、その使命を果たし続けるためには、国連の活動が具体的な成果を挙げ、国際社会の信頼と支持を得ることが不可欠である。そのことは、より効果的な国際協力を実現し、安定的な国際協調体制を維持するために必要である。これまでの活動に加え、デジタル技術の進展や、多様なアクターを内包した新しい国際協力の枠組みを活用することで、国連はこれまで以上に迅速かつ効果的に対応できる可能性がある。

 本特集号では、以上のような観点から、「国連と平和」に関する論文を広く募集します。国連の多様な活動を通じて見えてくる平和維持の現実、21世紀の国連が直面する課題とその解決策、そして未来への展望について、深く掘り下げた研究成果を期待しております。会員の皆様の積極的なご応募をお待ちしています。

 

1 投稿資格

投稿資格を有するのは、平和学会の会員、もしくは投稿申込以前に入会申込書が平和学会事務局に受理されている方です。なお会員に広く執筆機会を提供するために、投稿を希望する号より前の3号に原稿が掲載されている会員については、投稿資格は認められません。

 

2 原稿の種類

投稿原稿の種類には、平和研究に関する研究論文、研究ノート、書評論文の3種類があります。詳細については執筆要領をご確認ください。応募された投稿原稿が多数となった場合には、研究論文の掲載を研究ノート、書評論文より優先することがあります。また研究論文として投稿された場合であっても、査読の結果、研究ノートとして掲載を認める場合があります。なお、投稿原稿は未発表のものでなければならず、同一の原稿を学会誌以外に同時に投稿することはできません。平和学会の研究大会・集会時に提出をしたフルペーパーは、未発表原稿として扱います。

 

3 投稿申込締切と投稿原稿提出締切

投稿申込締切は2024年11月30日、投稿原稿提出締切は2025年1月31日です。

 

4 投稿申込

原稿を投稿する2ヶ月前までに、投稿原稿の要旨と執筆者情報を所定の書式(書式1書式2)で提出してください。

 

5 原稿の投稿

投稿に際しては、刊行・編集規程投稿規程執筆要領を確認のうえ、これらの規定に則って原稿の執筆と投稿を行ってください。これらの規定に定められた要件を満たしていない原稿は、受け付けることができませんのでご注意ください。

 

6 投稿申込・原稿送付の連絡先

メールで下記のアドレス宛にご連絡ください。

psaj26journal(a)gmail.com  ((a)は@におきかえてください)

第26期編集委員会 下谷内奈緒宛

メール送信後1週間以内に受信確認の返信がない場合には、再度ご連絡ください

 

7 査読結果の通知

原則として投稿後3カ月以内に査読結果を通知します。

 

8 オンライン・ジャーナルへの掲載

完成した原稿からオンライン上で逐次刊行となります(完成原稿から先行公開されます)。 原則として掲載可となった原稿は、投稿から1年以内の刊行を予定しています。