2017年11月25日(香川大学)平和のためのリテラシー

 

 平和教育プロジェクト委員会では、「平和を壊す問題に敏感になり、社会の主役としてそれを考え、語り交わし、行動するActive Citizenを育て、Active Citizen養成に関わる平和教育の人の輪を広げてゆく」ことを22期の重要なミッションとして認識している。

 

 特に、ポスト真実の時代とも呼ばれる現在においては、デマや扇動に流され暴力への加担をせず、排外的行動、憎悪表現・煽動に抗し、上辺ではない共生社会を構築してゆくActive Citizenを増やしてゆく必要性は非常に高い。そして、Active Citizenになるための必須のスキルが、平和のためのリテラシー力である。

 

 平和のためのリテラシー力が必須である反面、情報通信技術の発達により、ある意味、誰もが非常にお手軽に、暴力の扇動者になりうる時代に私たちは生きている。例えば、ネットユーザーのほとんどがSNSなどを通じて、報道の配信システムに組み入れられている現在のメディア空間においては、誰もが「いいね」を押す、一言コメントとともに「シェアする」などの方法で、憎悪表現・煽動者にもデマの発信者・拡散者にも簡単に成り得る。このことは、ヘイトデモと呼ばれる憎悪の煽動行動への参加者の多くが口にする「ネットで真実を知った」という参加の動機にも現れている。そして、何よりも深刻な平和のためのリテラシー力の欠如は「無関心」である。無関心は社会においては行為としての暴力に承認を与える役割を果たす。

 

 22期最後の集会では、上記のような問題意識から、「平和のためのリテラシー」を考えるワークショップを提供する。ワークショップは、下記3つのパートからなる。

 

 

1) 最初に、平和教育プロジェクト委員会より、様々な、平和を脅かすトピックに対して、参加者それぞれがどのように感じ、どのように考えるのかを可視化できるようなワークショップを提供する。

 

 

2) 参加者それぞれが自らの「平和をつくるフィールド」で感じる平和をためのリテラシーの欠如、および、平和のためのリテラシーを扱う上での難しさを、参加者の間で共有・意見交換を行う。

 

3) 2)で共有された問題意識ごとにグループ分けをし、「平和のためのリテラシー」を養う、10分程度のプログラムをグループワークで作成、会場で実施する。

 

 上記のワークショップの実施により、平和を脅かす要素に対する受信力を考えるだけでなく、平和のためのリテラシーをどのように発信・配信できるのかを考える機会としたい。